ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ全集
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人気ランキング : 8,556位
定価 : ¥ 12,800
販売元 : ユニバーサルクラシック
発売日 : 1999-06-02 |
価格:¥ 11,520
納期:通常24時間以内に発送 |
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旧盤は持っていないのでバックハウス同士の比較はできませんが、「ディアベリ」と「ハンマークラヴィア」の演奏が(実は曲も・・)好きではありません。ので、新盤でいいのではないかと密かに思います。もともと世評とは違ってテクニックで聴かせるタイプの演奏家ではありませんので、少々枯れて(衰えて)きた位がイヤミがなくていいのでは、とも思いますし。
今さらレコード・ジャーナリズムはこの演奏を評価したりはしないと思うので、知る人も聴く人もだんだん減ってくるのでしょう。そして、「バックハウスなんか大したことない」という伝説だけが独り歩きしてゆくのでしょう。それが時代の流れというものですね。
正直に白状してしまえば、ベートーヴェンが嫌いな(!)わたくしがソナタを聴けるのはバックハウスの演奏だけなのです。はは。
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手元にあるのはLPなので、CDの音はわからないことをあらかじめおことわりしておきます。
バックハウスの演奏の特徴の一つが、ベーゼンドルファーの持ち味を生かした深々としたウォームな音色にあるように思う。そしてデッカのステレオ録音は、バックハウスの音を良くとらえている。
技巧的に万全かといえば、決してそうではない。「熱情」のようなスパルタンな曲では、少々指のもつれが気になることもある。ただし、それは「気にすれば」という話であって、音楽の形を壊すような種類のものではない。
解釈は、旧全集と「大して」違うわけではない。私が偏愛している最後の32番のソナタにしても、旧全集であろうと、カーネギーホールでのライヴであろうと、やっていることは基本的に「あんまり」変わっていない。だから、旧全集の方が良いという人の気持ちは痛いほどわかる。
でも、人間だから、同じことをやろうとしても、同じことをやっているつもりでも、その時、その場所によって、違う結果が出る。それは、フィジカルの変化も影響するだろうし、メンタルなコンディションも関係しているのだろう。
話を32番のソナタに戻せば、第2楽章のあの感動的なアリエッタを、バックハウスはこともあろうに、あっさりと、スピーディーに駆け抜けていく。そして、第4変奏あたりで、このテンポで走らなければならなかった理由が見えてくる。そういう設計図は、従来と変わらないのだが、曲の頂点となる第4変奏以降の部分で、えもいわれぬ「間」の感覚は、この演奏でしか味わえないもののように思う。
同じような印象を、30番や31番にも持っていて、やはりこれは得難い全集であるという結論に達する。
体が思うようにならない人生の黄昏時を迎えて、バックハウスはただ良い音を求めて新たな録音を遺したのか、あるいは、旧全集で言い残したことがあったのか、考えながら聴くのも悪くない。
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既に下記レヴュアー(三浦候史郎氏)が記されているように、僕もバックハウスのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集は旧盤(50〜54年、モノラル録音)が断然の名盤だと思います。
更に僕の考えを付け加えると、三浦氏は新旧両録音に聞くバックハウスの技術レベルは大差がないと言われていますが、僕にはなかなかその差は大きいと聴こえます。特に打鍵のインパクトの違いは歴然として、新盤は録音がいい分、その衰えた打鍵による汚い和音が少々堪え難いとさえ思うときが少なくないのです。
しかし、新盤にも旧盤にない聞き所はあります。旧盤はいずれも凝縮力に優れた演奏で聞かせるのに対して、新盤は技術的制約はあるもののスケールの大きさで芸術性をカバーしています。よって、第15、18、21、24、28番などは、旧盤に劣らず備えておいても無駄ではありません。
追伸:バックハウスのベートーヴェン演奏には、旧モノラル盤全集以外に、「カーネギーホール・コンサート、1954」という大名盤があります。ここには、スタジオ録音と違ったライブにおける即興性溢れたバックハウスの姿を聞く事ができます。特に、第32番は空前絶後の大名演と言って、言いすぎる事はないと思います。
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〜バックハウスは2度のベートーベン・ピアノソナタ全曲録音を行っている。1度目は1950年から1954年にかけてバックハウス66歳から70歳のモノーラル録音。2度目は1958年から彼の死の年1969年にかけて74歳から85歳までのステレオ録音である。ただし《ハンマークラヴィーア》だけは彼の死による録音の中断のため旧録音しか残っていない。
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いずれの録音も高齢になってからのものであるが、やはり旧盤のほうが技巧的に安定している。しかし、技巧的な差は小さいと考えて良いだろう。音源は当時の録音技術の長足の進歩のためか新盤は旧盤よりはるかに良い。旧盤はホワイトノイズが聞き苦しい。
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演奏は旧盤のほうが新盤より高いテンションとモチベーションを感じさせ密度が濃い。新盤は旧盤においてすでに偉業を成し遂げたあとであるためか緊張感よりもリラックスを感じさせる。だが新盤はステレオによる新録音を残したという価値だけではなく旧盤とは違う作品に対するアプローチを示したという意味で価値を持つと思う。つまり新盤は旧盤よりおおらかで〜〜、細部の表現や技巧にとらわれない、くったくのない演奏といってもいいかも知れない。
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たとえば作品101(第28番)は新盤のほうがスケールが大きい演奏といえるだろう。他方《悲愴》第2楽章の美しさと繊細さ、味わい深さは旧盤が勝っているように思える。《ワルトシュタイン》においては旧盤ではロンドの主題の後、音楽が止まるという妙味を聴かせてくれるが新盤にはそれはない。
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バックハウスのベートーベンに対する解釈は旧盤のほうが新盤より精緻であり完成度が高いと思う。録音は断然新盤の方が良いが、バックハウスによるベートーベンの神髄を聴きたいのなら旧盤をおすすめする。〜
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盲目的なファンなので、多少は割り引いて欲しいが、正直いってこの全集以外、ベートーヴェンのピアノソナタのCDは必要ないとさえ思っている。
演奏が時に「そっけない」とか、楽譜に忠実すぎるとか、いろんな雑音が聞こえてくるけれど、そんなものは無視するしかない。
ベートーヴェンは、古典派の終わりであると同時にロマン派の始まりと評価されている。なにしろ「精神の人」とだけ誤解されているから、必要以上に情緒過剰型で演奏するピアニストも少なくない。全くうんざりだ。
ベートーヴェンは決して情緒に溺れているわけではないし、かといって、冷酷にきわめて冷静に音楽を書いていたわけでもない。このあたりのバランス感覚をもった演奏は、バックハウスしかいまだにいない、と私は思っている。澱んだ水ではなく、清流だ。
亡くなってから既に35年以上経過しているにもかかわらず、バックハウスを超えるベートーヴェン弾きに出会えない私は不幸者かもしない。
いや、不幸者ではないな。答えは簡単だ。バックハウスを聞き続ければいいのだから。