ペトロス伯父と「ゴールドバッハの予想」
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定価 : ¥ 1,890
販売元 : 早川書房
発売日 : 2001-03 |
価格:¥ 1,890
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万人に推奨できる良書である。にもかかわらず、さほど話題にもならなかったのは出版社の営業努力の不足か邦題の工夫不足が原因だろう。あとがきで、訳者も別の邦題も検討したという苦労談を披露されている。『天才数学者の野望と挫折ーゴールドバッハ予想と不完全性定理』などはどうだったのだろう。原著・邦訳とも優れており、少なくはないはずの数学ファンからもっと注目されて良いはずの一冊である。
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ギリシャの家をモチーフとした、現代小説として読んでも面白いです。
中身は数学を巡る話を中心に据えています。ですが、文系の人間が読んでも、夢中になれます。
色鮮やかな文章と、力強い登場人物。実学としての数学(経済など)と虚学としての数学(純粋な数学)の関係、この配置が心憎いほどに上手い。
そして、ギリシャ特有の家族の行事など、海外の文学から得られる知識、という部分では、ギリシャに関心を持つ人には、見逃せません。
語り手を取り巻く、数学者達の奇々怪々っぷりは、大笑いせずにはいられません。
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世捨て人ベトロス伯父は嘗て天才と呼ばれた世界的数学者だった。その伯父がなぜ落伍者と呼ばれ、親族はその伯父に近づくことを許さなかったのか。
数学と美術と音楽は真に天賦の才あるものだけが勝者となる。特に数学は若くして芽がでた第一人者だけが勝者であり、二位以下はない。才能の有無は自ずとあきらかでそこに本人の努力は必要がない。「数学者は生まれるものであり作られるものではない」「頭が良いだけなら技術者・弁護士・歯科医師を選べは充実した人生を送れる」。
ゴールドバッハ予想という、200年来の未解決の難問に挑戦し失敗したベトロス伯父の生涯は無意味だったのだろうか。
現代の日本には真に数学の天才はいないようなので(いれば10代のうちから有名になっているはず)、この本に書かれていることはすべての日本人には関係のない話だが、数学の世界はシビアだなあと思う。天才以外は近づいてはならない世界なのだ。数学の全国試験で一番だという程度で才能を見誤るとこうなるという、見せしめの話かもしれない。